ココちゃんに叱られる③”PIPって何?”

 


ココちゃんに叱られる③

今こそ、全ての日本の会社員に問います。

“PIPって何?”


PIP(ピーアイピー)とは、社員の首切りに使われているPerformance Improvement Plan(Program)・業績改善計画のこと。

PIPは本来、働く人の能力と業績の向上を目的とするものですが、実際には辞めさせたい人を退職に追い込むための手段として多用されており、外資系企業を中心にPIPに関する相談が増加しています。

その手法では、共通して次のようなことが行われています。

 



非常に高い業務の改善目標を立て


不合理な目標や抽象的な改善目標を立て        


成績不良を理由に解雇する。


達成できないことを理由に降格・減給・閑職への配転などを示唆し、自主的にやめるように誘導する。

 

の場合は、労働者が自主的に退職した形にするために、「P I Pが達成できなかった時には退職する」という合意書へのサインを求められることもあります。

納得のいかないPIPには、絶対にサインしてはいけません。サイン・PIP実行済みでも解決例があります。

すぐにユニオンなどの労働問題の専門家に相談しましょう。

 

詳しく教えて下さるのは、労働問題・社会問題に一筋 40年! 働く人の味方 ぐう先生

米国発祥のPIPの日本上陸は2000年頃。現在ユニオンに寄せられるPIP相談の約8割が外資系企業のものです。
国内の判例としては、米国の通信社ブルームバーグ東京支局の「PIPを経た解雇が無効」と判断されたケースが有名です。

PIPの経営管理論上での位置づけ・機能・展開過程などが論じられた論文・文献は、米国にも存在しません。あるのは

人事コンサルタントによる、独自PIPの企業へのPR・ハウツー文書ばかり。しかし、古くからおこなわれている経営管理の一領域である業績管理PIM: Performance Improvement Management)の流れと、アジル経営・すなわち速い経営を急務とする時流を総合して紐解くと、PIPがPIMから派生したものであることがわかります。PIMは、ある一定期間の目標を設定し、PDCAサイクルにより継続的に改善を図るというもので、右図のSMART基準に沿った目標設定を行うことが重視されます。

一方で、人事評価の基本的な評価要素である成果・能力・情意(下表)のうち、


SMART基準

S…Specific 具体的に

M…Measurable 測定可能な

A…Achievable 達成可能な

R…Related 経営目標に関連した

T…Time-bound 時間制約がある



情意項目のみ定量化することができず、基準があいまいで、評価者によって評価に違いが出やすいことは、人事労務の基本。一般的に、仕事に対する姿勢を評価することのできる情意評価は、能力評価・成果評価の補完的判断材料として活用されています。そして、情意項目単体ではSMART基準を満たすことが出来ず、PIPでの改善に適さないものであることが明らかです。また、情意評価は性格・意欲を評価基準とするものです。意欲はもとより、性格を一定期間で強制的に改善させようとする人事政策は、内容如何を問わず、社員の人格否定となる危険をはらんでいるのです。

 

 

人事評価要素群 評価項目

 

定量

成果(業績)
評価

  • 業績評価(売上高目標達成度、
    営業利益目標達成度など)
  • 活動実績評価(課題目標達成度、組織貢献活動実績など)

一定の期間における業績の達成度を評価するもの。事前の評価指標の設定が重要。

定量

可能

能力評価

  • 知識評価(専門知識・業務知識)
  • 習熟能力評価(職務遂行能力、
    実行力、問題把握力など)

職務遂行能力で従業員を評価するもの。資格等級などで定量化可だが、異なるジャンル間での評価バランスが難しい。

定量

可能

情意(態度)
評価

  • 規律性、責任性、積極性、協調性、企業意識、原価意識など。
  • コアバリュー(社是・社訓など)に基づくバリュー行動評価

仕事に向かう姿勢を評価するもの。定量的ではなく、目標設定しにくいことと、基準があいまいで評価者によって違いが出てしまう欠点がある。継続的な課題。

定量

不可能

 

 





組合員Aに提示されたPIPは、コミュニケーション・チームワークといった情意項目が改善項目とされていました。定量的評価が不可能な情意項目は、PIPによる改善には適さない項目で、これが、東京ユニオンが、本PIPを著しく合理性を欠くものであるとする理由の1つです。

合理性を欠くPIPは、本来の目的から逸脱した人事権の乱用として違法なものです。また、実際の行使にあたっての人格を傷つける言動などはパワーハラスメントにも該当します。

   
 

私たちは、誰でも、一人でも、管理職・一般職・派遣社員等の雇用形態に関係なく加入できる労働組合東京ユニオンです。発足から40年。コミュニティユニオンの草分け的存在です。